内田智士・東京科学大学教授らとiCONMの共同研究成果が ACS Nano に掲載
世界中で行われたCOVID-19 mRNAワクチンの投与以降、mRNAを治療に用いる試みが各国で行われていますが、mRNAを保護し、脾臓等に送達するために、通常、LNP(脂質ナノ粒子)にmRNAを包んで投与されます。しかしながら、このLNPは、肝臓に集積し、そこでタンパク発現が行われたり、肝炎を引き起こすことが知られています。
本研究では、肝臓に流れ込んだ血液から異物を取り除き胆汁中に排泄する「肝類洞」という毛細血管に着目し、その陰性荷電バリアがLNP(正電荷に帯電)を吸着することが要因と捉え、正電荷を持つオルニチン等のアミノ酸ポリマーにポリエチレングリコール2分子を結合させた肝類洞壁のコーティング剤を開発しました。このコーティング剤を投与し、一時的に肝類洞壁の陰電荷を中和したのちに、mRNA搭載LNPを投与すると、肝臓での集積が認められず、より少ない投与量で薬効が得られることがマウスを用いた動物実験で確認できました。感染症予防ワクチンやがん治療ワクチン、がんサイトカイン療法への応用も検討済みで、すべて高い安全性と効率性で目的とした治療を行うことができました。