具体的な取り組み
(研究開発課題)


4つのターゲット(目指していること)
本拠点が目指す「レジリエント健康長寿社会」を実現する上で、優先的に取り組むものとして4つのターゲットをさまざまなステークホルダーとの会話の中から定めました。これらのターゲットをクリアするにはどのような課題解決が必要かを吟味し、5つの研究開発課題として研究活動を開始しています。
5つの研究開発課題

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健康みまもり
センシングシステムの開発リーダー:東京大学 大学院
工学系研究科 教授内田 建
現在、血液検査をはじめ、医療機関に出向かなくてはできない検査は少なくありません。研究開発課題1では、そういった検査をできる限り在宅で行えるようダウンサイジングや非侵襲的手法(例えば、採血に代わる生化学的検査など)について研究を進めます。さらには家庭で普通に日常生活を過ごす間に、居室に設置された呼気センサーが日々の健康状態をチェックできる仕組みを開発します。
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生体I/Oデバイスによる
優しい医療介入技術の開発リーダー:東京科学大学 総合研究院
生体材料工学研究所 教授松元 亮
患者の病状にあわせた投薬管理は臨床薬学上重要ですが、在宅においてそれを行うことは容易でありません。体液中にある特定のバイオマーカーを測定すると同時に、その値に応じた適切な量で薬剤を自動投与できる貼付式の薬剤血中濃度管理装置を開発することで、在宅における投薬管理の適正化を図ります。また吸入や貼付で投薬可能なバイオ医薬品製剤を開発し、医療機関に出向かなくても在宅医療で使用できるようにします。
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老化を診断・制御する
スマートナノマシンの開発リーダー:東京科学大学 総合研究院
化学生命科学研究所 教授/ iCONM 主幹研究員西山伸宏
老化の予兆に関する研究が近年活発に行われており、そのメカニズムが次第に解明されつつあります。これらの知見を基に、体内でのそのような予兆を早期に発見する診断法を開発します。また、体内に発生した老化細胞をターゲットとした治療技術やワクチンを開発し、老化の進行を遅らせたり、疾患の発症を未然に防ぐことで健康寿命の延伸につなげます。
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長寿イノベーションの
実現に向けた
市民啓発と実証フィールド構築リーダー:千葉大学 大学院看護学研究院
先端実践看護学研究部門 教授五十嵐 歩
新たに開発される医療技術を社会に実装するには、その技術を活用する立場の医療・介護専門職や一般市民の理解が必要です。本課題では、その基盤となる、自分自身や他者の健康を支援するための基本的な知識・技術(=ケアコンピテンシー)を習得するための学習ツールやシステムを開発し、本拠点の研究推進機構との連携のもと、その普及・実践を進めます。また、本拠点で創出された医療技術を実社会で実証・実装する場の構築を、川崎市看護協会等の参画機関と連携して進めます。
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長寿イノベーションの
社会実装リーダー:東京科学大学 環境・社会理工学院 教授/ iCONM 主幹研究員
仙石 愼太郎
画期的な技術や製品が創出されても、それが制度や将来の社会に適合しないことが多々あります。本拠点プログラムの研究開発の成果がスムーズに社会実装されるためには、それらを見越した制度や規制の適合、倫理的・法的・社会的課題への対応、責任ある研究・イノベーションの実践が求められます。研究課題5では、人文学・社会科学的な観点からプログラム全体を俯瞰し、安全性や有効性を正しく評価するための試験・研究や調査を担う国立医薬品食品衛生研究所、革新的製品の創出を担う国内外の企業と連携し準備する役割を担います。