第3回 リトリート合宿を三島で開催
8月22日~23日の2日間、静岡県三島市にある東レ総合研修センターにて、「プロジェクトCHANGE」第3回リトリート合宿を行いました。リトリート合宿は、現在(2025年8月時点)38機関271名が参画するプロジェクトメンバー同士の連携強化のみならず、メンバーの知識やスキル向上を目指して、年に1度開催しています。1日目は「システム思考についての学び」、2日目は「システム思考とデザイン思考の実践的演習」をテーマに、講演とワークショップを行いました。
まずは、参加者の緊張をほぐし、意見を出しやすいようにアイスブレイクとして、恒例のクイズ大会で幕が開きました。浅間山の噴火とフランス革命、クリミア戦争と黒船来航といった一見関係なさそうな歴史上の出来事が実は繋がっていると知り、俯瞰的な視野の必要性を理解しました。
システム思考については、その道のプロである慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の白坂成功教授による講演で基礎を学んだ後、実践演習としてグループワークを行いました。お題は「日本における少子高齢化」。少子高齢化に関連する事柄(変数)を書き出し、それらの因果関係を示す矢印でつながれた複数の変数から構成される「因果のループ図」を作成しました。最後に隣の班同士で発表を行い、意見交換をすることで理解をさらに深めることができました。
2日目は、東京大学大学院医学系研究科の吉岡京子准教授による講演から始まりました。内容は歩行障害について、実例を交えながらお話しいただきました。老衰、事故、生活習慣など原因はさまざまですが、歩行は生活に不可欠のもので、それができなくなることは健康寿命の短縮を意味します。
この日のグループワークでは、システム思考で「歩行障害」に関する因果のループ図を作成し、そこに医療や看護、社会、ビジネスの視点でのニーズとのマッチングを、昨年のリトリートで学習した「デザイン思考」の手法で行いました。そこから浮かび上がる数々のアイデアから、研究テーマの創出を各班で実施し、歩行障害を少なくするために必要な道具や技術、システムについてまとめ、発表を行いました。
最終的に各班のパフォーマンスが審査され、東京大学の山田直生先生がファシリテーターを務めた「チーム高津区」が発表内容に最も独自性、オリジナリティがあるとみられるグループに贈られる賞「スペシャルアワード」を、iCONM インキュベーション事業推進室 ラボマネージャーの岡井孝諭さんがファシリテーターを務めた「チーム幸区」が総合得点の最も高いグループに贈られる賞「エクセレントアワード」を受賞しました。
最後の講評では、アドバイザーの三村孝仁・元テルモ会長から「システム思考を学ぶ良い機会になったと思う。多様性を活かした視点で俯瞰的に物事を整理することで見えてくるものもある。」というコメントを頂き、「鳥の眼」「虫の眼」「魚の眼」で物事を観ることの重要性を改めて認識しました。
参加者へのアンケートの結果では、総じてポジティブで、以下のような声が寄せられました。
・「具体的なテーマに取り組むことでシステム思考への理解を深めることができた」
・「1つの事象を深掘りすると、さまざまな要因が相互に関係し、サイクルを形成していることがわかった」
・「考えを整理する良い道具に出会うことができた」
・「他分野の方々の思考を知る良い機会になった」