研究成果

学会

媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:Pharmaceutics

著者:Y. Terai, E. Yada, H. Nakanishi and K. Itaka

ヨード酢酸ナトリウム塩が誘発する炎症性変形性関節症に対するmRNA薬ベースの併用療法

要約:

背景/目的:変形性関節症(OA)は、炎症、軟骨変性、軟骨下骨変化を特徴とする進行性関節疾患であり、効果的な疾患改善療法は確立されていない。メッセンジャーRNA(mRNA)ベースの治療法は関節病態を改善する多様なアプローチを提供するものの、OAへの応用は依然として限定的である。方法:ヨード酢酸ナトリウム塩(MIA)で誘導した炎症性OAラットモデルにおいて、非炎症性かつ低侵襲性の送達システムであるポリプレックスナノミセルを用いた治療用mRNAの関節内送達の薬効評価を行った。結果:IL-1受容体拮抗薬(IL-1Ra)mRNAは滑膜炎症を軽減し、疼痛と腫脹を緩和した。軟骨形成に重要な転写因子であるRUNX1 mRNAは、軟骨細胞の生存率、II型コラーゲン発現、軟骨構造を支持した。しかし、顕著な炎症下では、RUNX1 mRNA単独の保護効果は限定的であった。注目すべきは、IL-1Ra mRNAとRUNX1 mRNAの併用投与により相乗的な治療効果が得られ、軟骨保護作用の増強と軟骨下骨の完全性維持が認められた点である。結論:これらの知見は、RUNX1が軟骨恒常性維持に不可欠である一方、その治療効果には関節炎症の効果的制御が必要であることを示唆している。したがって、ポリプレックスナノミセルによる二重鎖mRNA療法は、変形性関節症の多因子病態に対処する有望な戦略となりうる。

 

https://doi.org/10.3390/pharmaceutics17101254

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