媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:Journal of Controlled Release
著者:H. Chang, F. Aulia, R. Kamegawa, N. Qiao, M. Hori, S. Ogura, C. Y. J. Lau, N. Yamada, K. Taniwaki, M. Naito, H. J. Kim, K. Miyata
シリカコーティングされたポリイオン複合体によるmRNAの肺送達効率向上と最適化されたシリカ層の安定性
要約:
メッセンジャーRNA(mRNA)治療薬の肺投与は、局所的な薬剤の蓄積を促進し、全身的な副作用を軽減するため、肺疾患の治療に大きな期待が寄せられています。しかし、呼吸上皮におけるmRNAの脆弱な性質と非効率的な細胞内取り込みは、mRNA治療の固有のボトルネックとなっています。mRNAのペイロードを保護するために、主に脂質および高分子ナノ粒子が種々探求されてきましたが、過酷な生体環境におけるそれらの安定性は依然として非常に制限されています。本研究では、二酸化ケイ素でコーティングされたポリイオン複合体(SPIC)に、肺へのmRNA送達のための可逆的に安定化されたmRNA輸送体として注目しました。mRNAを含むポリイオン複合体(PIC)の表面にシリカ殻がシリカ酸の縮合を通じて形成されました。シェルのシリカ含量は、調製中にシリカ前駆体の濃度を変えることによって調整されました。シリカ含量が高いほど、シミュレートされた肺液中で粒子の均一性、特にサイズをより効果的に維持しましたが、未コーティングのPICは直ちに凝集しました。しかし、SPICのmRNA放出性は、シリカ含量の増加によって損なわれました。それに応じて、最適化されたシリカ含量を持つSPICは、培養された肺癌細胞において効率的なmRNA発現を誘導し、これはmRNAペイロードの細胞内取り込みの促進と関連していました。最終的に、最適化されたSPICは、マウスの口咽頭吸引によって投与された後、未コーティングのPICよりも肺におけるmRNA発現が1桁高いことを示しました。これらの結果は、SPICがペイロード保護と放出のための粒子安定性のバランスを取ることによって、局所的なmRNA送達のための有望なプラットフォームであることを示しています。
https://doi.org/10.1016/j.jconrel.2025.114136