媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:NMR in Biomedicine
著者:R. K. Parajuli, H. Sano, M. Ueno, S. Gao, S. Suzuki, A. Sumiyoshi, K. Osada, T. Obata, I. Aoki and K. Matsumoto
組織酸素濃度依存性(TOLD)MRIに基づくマウス脳内の酸素化および酸素消費速度の定量化
要約:
T1強調組織酸素濃度依存性(TOLD)MRIに基づき、マウスの脳組織における酸素化と酸素消費速度を推量する非侵襲的方法を開発した。本研究の目的は、放射線治療の計画を容易にするために、組織中の酸素の動態を推定することにある。細胞成分の水相と脂質相のモデルである水とコーン油試料を用いて、プロトンT1緩和率と酸素濃度の関係を調べた。マウス脳のT1マップを高酸素濃度ガス、カーボゲン(95%O2+5%CO2)または100%酸素呼吸下で取得し、脳内の生理的状態からの酸素濃度のシフトを見積もった。ヘム鉄のT1への影響を調べるため、酸素投与下の血液サンプル、ヘモグロビン、ミオグロビン水溶液の擬似TOLDシグナルを測定した。マウスの脳における酸素代謝は、呼吸ガスを空気からカルボゲンまたは100%酸素に切り替えたとき、および空気に戻したときのTOLDシグナルの亢進/減弱率で評価した。カルボゲンまたは100%酸素吸入は、皮質の酸素濃度をそれぞれ0.28mmol/Lまたは0.26mmol/L増加させた。TOLD信号の時間経過プロファイルを解析することにより、酸素化率、酸素化レベル、酸素消費率を推定することに成功した。TOLD MRIは、脳組織における酸素化および酸素消費速度の定量的指標を推定する有用なツールである可能性がある。
https://doi.org/10.1002/nbm.70104