研究成果

学会

媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:ACS Applied Nano Materials

著者:Victor Marx, Yuki Mochida*, Shigehito Osawa, Theofilus A. Tockary, Jumpei Norimatsu, Hidetomo Yokoo, Makoto Oba and Satoshi Uchida*

ポリサルコシンとポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)が mRNA に結合してステルス性の mRNA ポリプレックスをつくる

要約:

ポリ(エチレングリコール)(PEG)の免疫原性は、ナノ医薬品における安全性と有効性に関する懸念材料となるため、PEGの代替物の研究開発を進めています。本研究では、mRNAを送達するために設計されたポリプレックスにおけるPEGの代替物、すなわちポリ(サルコシン)(pSar)とポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(pEtOx)の可能性を検討しました。これらのポリマーのポリプレックス表面上の密度は、mRNA工学によって正確に制御され、これはmRNAがpSar、pEtOx、またはPEGに結合したRNAオリゴヌクレオチド(オリゴRNA)とハイブリダイズすることを含みます。線状ポリ(エチレンイミン)(LPEI)と、これらのオリゴRNAを異なる数だけ結合させたmRNAを共配合することにより、pSar、pEtOx、またはPEGの異なる密度でコーティングされたポリプレックスが、100 nm未満の水力学的直径で製造されました。ζ-ポテンシャルは、これらのポリマーによる表面修飾後に中性にシフトしました。これらのポリマーは、アルブミン処理後のポリプレックスの凝集への抵抗性を強化しました。培養細胞への送達時に、これらのポリマーはポリプレックスの細胞取り込み効率と送達されたmRNAからのタンパク質発現を低下させました。マウスに全身投与した結果、これらのポリマーを含まないポリプレックスは肺に蓄積され、これは血液細胞の凝集の誘導によるものと考えられます。一方、PEG、pSar、またはpEtOxを含むポリプレックスは、血液細胞の凝集を軽減し、脾臓での選択的なタンパク質発現を可能にしました。これらの結果は、mRNAポリプレックスにステルス特性を付与する有望なPEG代替物としてのpSarとpEtOxの可能性を強調しています。特に、この研究は、物理化学的特性評価、培養細胞実験、および動物研究におけるステルス特性に関して、これらのポリマー間の不一致を明らかにしています。これらの発見は、PEGの代替物に関するさらなる研究の重要な根拠を提供します。

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