媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:ACS Sensors
著者:Taro Kato*, Takahisa Tanaka and Ken Uchida*
ばらつきが小さく、高い選択性と長期安定性を有する金ナノシートセンサーを用いた呼気中PPBレベル硫化水素の検出
呼気中の硫化水素(H2S)を連続的に監視することで、口臭や消化器系の問題などの健康問題を検出することができます。しかし、呼気分析に必要な高い選択性とppbレベルの検出能力を持つH2Sセンサーや、他のデバイスとの統合を容易にする製造プロセスが不足しています。本研究では、製造プロセスを最適化することで、高い選択性、ppbレベルの検出能力、および高い均一性を持つAuナノシートH2Sセンサーを示しました。具体的には、(1)酸化物基板上でのAuの凝集を防ぐための接着層としてチタンナイトライド(TiN)を挿入し、(2)ナノシートの結晶性を向上させるためのN2アニールを行いました。製造されたAuナノシートは、5.6 ppbという低濃度のH2Sを検出することに成功し、推定検出限界は0.5 ppbであり、人間の鼻の感度(8~13 ppb)を上回る性能を示しました。さらに、センサーはシミュレーションされた患者の呼気中で175 ppbという低濃度のH2Sを検出し、水素、アルコール、湿度などの干渉物質に対して高い選択性を示しました。均一なセンサー特性を持つ金ナノシートはデバイス統合を容易にするため、提案されたセンサーは、モバイルデバイスへの統合による呼気分析に基づく健康チェックアップに有用です。
http://doi.org/10.1021/acssensors.3c01944