媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:Science Advances
著者:Shota Yamauchi, Yuki Sugiura, Junji Yamaguchi, Xiangyu Zhou, Satoshi Takenaka, Takeru Odawara, Shunsuke Fukaya, Takao Fujisawa, Isao Naguro, Yasuo Uchiyama, Akiko Takahashi and Hidenori Ichijo
ミトコンドリアの脂肪酸酸化が老化を促進する
細胞老化は、腫瘍抑制や老化に関与するストレス誘導性の不可逆的な細胞周期停止を意味します。テロメアの短縮や癌遺伝子の活性化など、多くのストレスが核DNAを損傷させることによって老化を引き起こします。しかし、DNA損傷と老化を結びつけるメカニズムは不明です。ここでは、DNA損傷応答(DDR)シグナルがミトコンドリアに伝わり、老化を引き起こすことを示します。ゲノム全体の小干渉RNAスクリーニングにより、外側ミトコンドリア膜タンパク質BNIP3が老化誘導に関与していることが示されました。我々は、BNIP3がDDRキナーゼであるアタキシア・テランジエクタシア変異(ATM)によってリン酸化され、ミトコンドリアのクリステの数を増加させることを発見しました。安定同位体ラベリングメタボロミクスの結果、クリステの増加が脂肪酸酸化(FAO)をアセチル-CoAに強化することが示されました。これにより、ヒストンのアセチル化とサイクリン依存性キナーゼ阻害因子p16INK4aの発現が促進されます。特に、FAOの薬理学的活性化のみで、in vitroおよびin vivoで老化が誘導されました。したがって、ミトコンドリアのエネルギー代謝は老化誘導に重要な役割を果たし、老化を制御するための潜在的な介入ターゲットとなります。
http://doi.org/10.1126/sciadv.ado5887