研究成果

学会

媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:Bioconjugate Chemistry

著者:Yukine Ishibashi, Mitsuru Naito*, Yusuke Watanuki, Mao Hori, Satomi Ogura, Kaori Taniwaki, Masaru Cho, Ryosuke Komiya, Yuki Mochida and Kanjiro Miyata*

血液循環を延長する高分子ナノルーラーによる膠芽腫のサイズ依存的標的化

現在、最も頻繁かつ悪性の脳腫瘍である多形性膠芽腫(GBM)に対する効果的な治療法はありません。血液脳(腫瘍)バリア(BB(T)B)は、密に接続された内皮細胞とペリサイトから構成され、部分的な血管崩壊を伴うため、ナノ医薬品の腫瘍組織への蓄積を妨げます。私たちは、GBMの受動的標的化に対するナノ医薬品のサイズの影響を探求することを目的としました。流体力学的直径が8〜30 nmのサイズ調整可能なポリエチレングリコール(PEG)グラフト共重合体(gPEG)を一連に構築しました。原発性脳腫瘍を有するマウスを用いた生体分布研究により、gPEGの脳腫瘍への蓄積は10 nmで最大化され、腫瘍あたり約14%/gの投与量が得られました。これは、正常な脳領域の19倍、30 nm gPEGの4.2倍に相当します。特に、10 nm gPEGは、密にPEGが詰まった構造に由来する血液循環特性の延長により、11 nmの線状PEGよりもはるかに高い脳腫瘍蓄積を示しました。また、10 nm gPEGは、より大きなgPEG(>10 nm)よりも脳腫瘍組織への浸透が深いことが示されました。この研究は、GBMの受動的標的化のためのナノ医薬品のサイズ縮小戦略の大きな可能性を初めて示しています。

http://doi.org/10.1021/acs.bioconjchem.4c00235

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