研究成果

学会

媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:ACS Nano

著者:Yuto Honda*, Shuhei Nagao, Hiroaki Kinoh*, Xueying Liu, Nozomi Matsudaira, Anjaneyulu Dirisala, Shoko Nitta-Matsutomo, Takahiro Nomoto, Hiromi Hayashita-Kinoh, Yutaka Miura, Takashi Okada and Nobuhiro Nishiyama*

タンニン酸とフェニルボロン酸ポリマーで自己組織化したアデノ随伴ウイルスが中和抗体を回避し有害事象を軽減する

アデノ随伴ウイルス(AAV)は、衰弱性の遺伝性疾患の遺伝子治療で使用されることが増えています。しかし、全身投与されたAAVは中和抗体(NAb)によってしばしば不活化され、高用量のAAV投与は肝毒性を引き起こし、その効果を制限します。これらの課題に対処するために、我々はタンニン酸(TA)とフェニルボロン酸結合ポリマーに基づく逐次組立技術を提案し、平均直径60 nmのコアシェル構造を持つAAV封入三元複合体を水溶液中で形成しました。TAがAAVをコーティングし、ポリマー上のボロン酸とボロネートエステルを形成するため、AAVセロタイプ9(AAV9、平均直径25 nm)は、ポリマー鎖に囲まれたコアコンパートメントに成功裏にパッケージされ、NAbによる不活化を回避する保護シェルを形成しました。静脈内に注入された三種複合体は、NAbを回避し、肝臓への蓄積を最小限に抑えることで肝毒性を抑制しました。一方で、この三種複合体は、AAV9を細胞内で放出することにより効率的な遺伝子導入を示し、AAV9の血液脳関門(BBB)透過性を維持し、脳細胞を標的にすることで、AAV9単独と比較して脳/肝導入選択性を20倍向上させました。さらに、この組立技術を非侵襲的なBBB開放のためのマイクロバブル焦点超音波(MB-FUS)システムと組み合わせることで、脳への遺伝子導入効率が6倍以上向上し、さらに脳/肝導入選択性が増加しました。我々の超分子アプローチと医療機器の組み合わせは、AAVベースの遺伝子治療における重要な進展を示しています。

http://doi.org/10.1021/acsnano.4c11085

SHARE