媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:Advanced Science
著者:Xuan Du, Hideyuki Nakanishi, Takashi Yamada, Yooksil Sin, Katsura Minegishi, Norio Motohashi, Yoshitsugu Aoki and Keiji Itaka
Pgc-1α4 mRNAを搭載したポリプレックスナノミセルの四肢静脈注射による送達は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーマウスの損傷抵抗性を高める
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、DMD遺伝子の変異によって引き起こされ、ジストロフィンの欠如と進行性の筋肉変性を伴います。現在の治療戦略、例えばエクソンスキッピングや遺伝子治療には、ジストロフィンの切断や安全性に関する懸念などがあります。これらの課題に対処するために、ポリプレックスナノミセルを使用して、過酸化物酵素増殖因子活性化受容体ガンマ共活性化因子1αアイソフォーム4(PGC-1α4)をコードするmRNAを水力学的四肢静脈(HLV)投与によって送達する新しいmRNAベースの治療法が探求されています。in vivo筋肉トルク測定技術を使用した結果、ナノミセルによって送達されたPgc-1α4 mRNAがmdxマウスにおいて筋肉損傷耐性とミトコンドリア活性を有意に改善することが観察されました。具体的には、ジストロフィー筋におけるPgc-1α4 mRNAのHLV投与は、偏心収縮(ECC)によって引き起こされるトルクの減少と筋繊維の損傷を有意に軽減し、代謝関連遺伝子の発現を促進し、筋肉の酸化能力を向上させました。これに対して、広く使用されているmRNA送達システムである脂質ナノ粒子(LNP)は、同様の保護効果を達成できない可能性があり、これはそれらの内因性免疫原性によるものと考えられます。この基礎的な概念実証研究は、DMDなどの神経筋疾患の治療におけるmRNAベースの治療法の可能性を強調し、治療用途のための安全で効率的なmRNA送達システムとしてのポリプレックスナノミセルの能力を示しています。
http://doi.org/10.1002/advs.202409065