媒体の種類:学術論文
掲載紙/掲載誌/掲載メディア:Journal of Medical Internet Research
著者:Jiakan Yu, Jiajie Zhang and Shintaro Sengoku
米国食品医薬品局(FDA)の承認プログラム医療機器(SaMD)のイノベーションプロセスと産業システム:事例のレビューと分析
背景:プログラム医療機器(SaMD)に対する学術界と産業界の関心が高まっている。SaMDは医療従事者が既存のプラクティスを効率化し、デジタルセラピューティクスなどの革新的な医療プロセスを実現可能とする。更に、SaMDは数十億ドル規模の市場を形成している。しかし、SaMDに関する技術動向や産業動向の特徴は必ずしも明らかにされていない。 目的:本研究は、医療システムと規制におけるSaMDの位置づけを確認し、現状を分析することを目的としている。具体的には、(1) SaMDのイノベーションプロセスを明確化すること、(2) イノベーションの特性を特定すること、(3) SaMDのイノベーションプロセスを駆動するメカニズムを解明することにある。 方法:我々、OpenFDAウェブサイトから、FDAが承認したSaMDの製品情報581件を収集した。また、Crunchbase、Bloomberg、PichBook.com等のデータソースから、これら製品の製造企業268件のプロファイル情報を収集した。記述的分析に加え、コレスポンデンス分析とビジネスプロセス分析を用いて、利用動向の分布を図示すると共に、実際の医療プロセスにおけるSaMDとハードウェア医療機器との相互作用を評価した。 結果:現行のSaMDは、医療画像処理と放射線分析分野に高度に集中していた。医療機器産業における既存企業は市場形成をリードし、漸進的イノベーションに焦点をあてている一方、新規参入企業、特にスタートアップはより破壊的なイノベーションを志向していた。ハードウェア医療機器は、SaMDの補完資産として機能することが判明した。但し、SaMとの相互作用は、用途とその度合いの応じて異なることが示された。これらの結果に基づき、我々はSaMDのイノベーションプロセスに関するレジームマップを提案した。 結論:SaMDは、産業としては総じて未だ初期段階にあり、漸進的イノベーションが主流に留まる。SaMDのイノベーションプロセスの進展は、破壊的イノベーションの基盤となる医療データへのアクセスが鍵となる。